日曜日から逃れるために怖い体験を思い出したい
これは僕が小学2年生の時の話です。
小学生の時にはありがちな話ですが、
放課後に何して遊ぼうかとなった時に、「冒険」という遊びが流行りました。
冒険とはそのままの意味です。
僕の小学校の周りには15個くらいのアパートが
密集しており、いわゆる団地でした。
みんな団地の子供なので、誰もが同じ土地鑑をもってました。
なので、そこらへんをぶらついても野良猫でもでない限りは
新鮮味もなく、冒険感はまったくありません。
そこで僕を始めとする数人は冒険の対象を
「学区外」としました。
学区については説明不要かと思いますが
学区の外に出ることは親たちに禁止されていました。
だからこそ学区のそとに出たくなるのが子供だと思います。
だけど、一応、禁止にはなっているので、その背徳感は子供ながらに
感じつつも学区外遠征は実行されました。
普段団地しか景色を知らない僕らにとって学区外で見るものすべて新鮮でした。
たちまち学区外の虜になっていました。
ある夏の日。
学区外で、肝試しをしようという話が盛り上がりました。
肝試しといっても、外出できる時間は夏の帰宅時刻である18:00までだし
くだらない、誰かが墓地をみつけたのでそこにいこう。というだけの話でした。
僕は、小さい頃から大人向けのホラー小説を読んでいたので
正直、お墓にいけば怖いことあるかも、なんてのは子供の発想だと思いました。
もちろん自分も子供です。
慣れているからみんなよりも怖がらない。いいカッコできるかも
そんな下心がありながら、肝試しについていきました。
場所の雰囲気の描写が文書力不足でできないので、
当時の道をgoogle earthで見つけて探しました。
こんな感じのところです。
奥に続く階段を上ると右手に墓地が現れるという話でした。
墓地にはストリートビューでも入りこめませんでした。
僕が先頭になって2人くらいを引きつれて階段をあがりました。
まあ。墓地はありました。でも別に墓地です。17:00くらいに見る墓地です
夏なので結構明るいし、ひぐらしがちょっと鳴き始めているくらいです。
正直まったく怖くありませんでした。他の二人も同様といった様子です
二人は特にがっかりする様子もなく、階段をおりていきました。
僕は明日学校で話すにしても収穫が無さすぎると思って、
怖そうなものがないか色々見て回りました。ないです。
ただ、ひとつだけ、お墓の向かいに廃屋がありました。
昔ながらの一軒家の廃屋です。
縁側のようなものが腐り落ちていて、
家の中と縁側を仕切る障子戸もボロボロでした。
本当に絶対やっちゃいけないことですが、時効として白状すると
その誰も住んでいない家にこっそり侵入しました。
もちろん居間っぽいところも玄関っぽいところもボロボロで
誰も生活していないのは明らかでした
襖や扉も全部なくなっていて、家の中がひとつの大きな部屋みたいでした。
転々と柱があるだけです。
でもその中でも、襖で仕切られた部屋がひとつだけありました。
いま思えば、その襖は異様に綺麗でした。
怖いものがなかった僕はその襖をそっと開けました。
開けると、4畳くらいの部屋でした。
その4畳の部屋の中央にはコタツがあり、
上にはカゴに入ったみかんが置かれていました。
綺麗に積み上げられた手付かずのみかんをみて、
おじいちゃん家にある仏壇を思い出しました。
えっみかんだ。と思った時に部屋にあったテレビで、
地元でしかやっていない夕方の情報番組が17:30をお知らせしてました。
テレビついてる。誰が見ているんだろうと思いました。
テレビに近づこうとすると何かにつまずき、バランスを取ろうと思ってコタツ机に
手を置いた時、人肌くらいの暖かさを感じて、その時になぜか、ゾッとしました。
一度そうなってしまうと、人間パニックになります。
急いで扉襖を開けて一目散に逃げました。
友達に経緯を話したら、嘘つけと。けっこう笑われました。
笑われている間に、あることを思い出しました。
逃げる時に襖ってなんで開けたんだっけ..?
襖を開けて正面にコタツをテレビがあった。
すぐさま振り返って、襖を開けて逃げた。
逃げる時に襖を開けたってことは、
部屋に入った以降に、襖が閉まった?
いつも母親に廊下のドアを閉めないで怒鳴られていたので自分で閉めたのはありえない。てかわざわざ退路をたつなんてことはしない。子供であっても。
この話を人に話すと余計に笑われそうなので、自分一人の心にしまっていました。
だけど、内心すごく気持ちが悪かったのを覚えています。
そのあと、友達の家でスマブラをしていたらその日その話を思い出すことはありませんでした。カービィの下Bばかりを使う友達をミュウツーでこてんぱんにしました。
だけど。あの部屋の感じと匂いの感じは未だに克明に覚えています。
もしあのまま部屋にもう少しいたら...なんて安っぽいことを言うつもりはありません。
だけど、なんか気持ち悪かったな。