サウナ闘争
普段よく銭湯に行く。
銭湯へ行く目的の80%はサウナだ。
元来とても汗っかきなので、異常な量の汗を短時間でかく。
基本的に限界まで入っているので、サウナから出た後は気絶しそうになる。
フラフラになりながら露天のスペースに行き、風に当たると少し汗の匂いがしつつもとても気持ちが良い。
銭湯は山にとても近いので、山の匂いと風の匂いが混ざった匂いがする。
記憶はよく匂いによってよみがえるとされるが
風の匂いと汗の匂いを嗅ぐと、高校で陸上をやっていた頃を思い出す。
特にこのシチュエーションでの匂いでは、夏合宿を克明に。
夏合宿の練習はとてもきつかった。
陸上は初めばかりでどんな靴を履けばいいのかもわからなかった。
親戚にニューバランスのスニーカーを陸上で使いなと僕にくれたが、
それはとてもじゃないが走る用 ではなかった。
でも真剣に応援するつもりで譲ってくれた。
練習内容は、とにかくスキー場の坂を下から登り続けるというものだった。
早く登ることができればできるほど、登れた順位が高ければ高いほど、
ポイントを多くもらうことができた。ポイントが貯まった順番に練習を終えらる。
スニーカーは山の霧で湿った地面の水分をよく吸った。
ダッシュの本数を重ねれば重ねるほどスニーカーは重くなった。
でも、水を吸って、加水分解してボロボロなスニーカーを足元を見るたびに
応援の気持ちでスニーカーをくれた親戚の顔が浮かび、なんだか惨めで泣きそうになった。
霧と汗と鼻水と涙でぐしょぐしょになりながらたぶん最下位くらいで練習を終えた。
たぶん女の子の部員にも負けていたと思う。
次の日もその次の日もスキー場で負け続けた。
そんなしょっぱい記憶がサウナに限界まで入ると思い出す。
そうなるとなぜかその記憶と共にあの頃の惨めさと悔しさもまるで
その時に戻ったかのごとくはっきり感じる。
そして闘争心を持ってサウナに戻る。
適当にサウナ得意そうなおじさんを選んで、絶対にその人がでるまで自分はでないと意味のない意地を張る。
そもそも自分はサウナが得意ではないので、平均的にサウナポテンシャルは低く、選んだ人だいたい自分より強い。
だけど謎の意地で最後まで戦おうとする。
それを繰り返しているので、銭湯からあがると結構な割合で激しくのぼせる。
超駄文。